ムチ打ち症と肩こり

●ムチ打ち症、その原因は…
 むち打ち症は衝突などで、首が前後に激しく「しなる」ことによって引き起こされる障害です。その大半は『頚椎の捻挫』で、首が前後にしなる時に強く関節包や靭帯などが引き伸ばされ、各種障害が起こるのです。ご存じのように頚椎周辺は神経や血管、筋肉が入り組んでいるので、症状は筋肉のみならず神経まで及ぶ場合もあります。慢性化して長引くものもあり、なかなか厄介なものです

 慢性化して症状が長引くのは「その人の体に歪みが残っており、それが治癒を妨げているから…」と漢方では考えます。そして歪みの元凶は内臓機能の不調和だと考えるのです。

●私の実体験から ~ムチ打ちと肩こり~
 実は私も追突された経験があり、実体験としてその症状を語ることができます。まず感じる症状は肩こりです。その肩こりもパソコンのやり過ぎや目の疲れなどで感じる肩こりと違って、肩一面に広範囲に硬く張るといったものです。そしてその周辺が腫れぼったいような嫌な感じがします。

衝突事故による肩こり


 そして慢性化すると、凝りが背中にまで広がり、その不快感が背筋に沿って首から頭に立ち登って来るようになります。頭が不快感でボーっとして来るのはこの時です。ただ整形外科的な検査では、訴えの割にはそれほど大きな病変があるわけではないので、治療は対症療法になりがちです。なかなか治らず症状が慢性化して、長年それを我慢している人も多いのです。

●指圧で良くなるムチ打ち症
 このように、なかなか治り難いムチ打ち症ですが、指圧で良くなるケースも多いのです。むち打ち症で強い肩こりが起こってそれが広範囲に広がるのは、障害を受けた部分を保護するためです。従って追突された直後は患部を安静にしておくのが良いのです。よく直後に肩のコリをゴリゴリと揉む人が居ますがこれは良くありません。患部に不必要な刺激を与えてしまい緊張を増すからです。

 また多くの人はショックを受けた首肩周辺にのみ注意を向けますが、実はむち打ちのショックは首肩周辺に止まりません。衝突と同時に腕、腰、脚と広範囲に広がっているのです。それは指圧をするとそれらの部位に強い圧痛やコリが歪みとなって現れているので判ります。このコリがむち打ちの回復の妨げになっているのです。指圧でこれらのコリや圧痛を取り除いてやると、むち打ち症の症状はかなりラクになります。


 実際の施術は背中や脚などをメインにした全身指圧をすることになります。患部については受傷部でもありますから安全面を考慮して手を付けません。そして全身指圧をしながら「経絡」を使った患部に対する遠隔治療を行います。更に腹部に対する治療は「腹証」と呼ばれる診断をすることで、格段に治療効果を挙げる事ができます。このように患部の安全を担保しながら、受傷部への治療ができる指圧は、利用される方にとって大きなメリットでもあります。

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 病院で中々回復しなかったムチ打ち症が、指圧で改善したという事例は多いのです。指圧では首や肩のみならず、全身的に治療箇所を求めます。そして全身の歪みを修正し、結果として肩こりを始め、むち打ち症の各症状を改善させるのです。時に速効的に症状が改善する事もあります。これまで改善しなかった方も良くなりますので、どうぞ諦めないで下さい。