指圧による幾つかの症例をあげてみました。症例は肩こりだけではなく、腰痛や頭痛、疲労、うつ等と広い範囲で紹介してあります。これは指圧がこれらのトラブルに有効あると言うよりも、指圧によって体調や体力が上向けば、自身の自然治癒力で自然に様々な症状が取れるのだという意味でご覧になって下さいませ。ご参考にして頂ければ幸いです。
症状を聞くと10年間ひどい頭重に悩まされ最近はストレスのためか胃痛もあって背中に響くとの事でした。肩や背中はパンパンに張り、首からは力が抜けていました。お腹にも力がなく底に鈍い痛みがあります。そこで治療方針として全身指圧をして全体をリラックスさせ、同時に頭痛の引き金になっている首や肩背部、前腕部の緊張を解き、更に腹部と下肢(内股)指圧を入念に行って「おなか」の活力改善・充実を図る…と言う方針にしました。
治療の結果、体のこわばりが取れ、お腹にも弾力性が戻って症状が安定して来ました。施術5回で70%近くラクになったと言うので、とりあえずここで治療に一区切りをつけました。その後も月に一回ペースで指圧を継続し、次の年の春先には「症状はもうほとんどありません」と答えてくれました
体に触れてみると背中から肩に掛けて、広い範囲でコリや張りがありました。ただ体格的には華奢で体力がなく、その張りやコリは表面的なものと感じました。ですから無理な施術は体調のバランスを崩し、却って体調不良を強めると判断しました。そこで治療方針としては、決して無理な施術はせず「心地よい指圧」で推し進めました。施術順序は座位から始め、うつ伏せ、仰向けと進み、特にお腹を入念に指圧しました。お腹の指圧は疲労回復に役に立ちます。また腕の使い過ぎで腕が張り、それが肩こりの遠因となっているので、それを弛めました。「胆経」のツボを圧すと反応があったので「目の疲れ」もあるようでした。1時間の指圧で、本人も驚くほどラクになったと報告してくれました。
一見すると健康的ですが、触れてみると元気のない「虚証」と呼ばれる体質でした。それに呼応するようにお腹にも力なく弛んでいました。これは活力のない証拠です。局所の症状としては手指の使い過ぎによる肩こりですが、下地には疲労があると判断しました。そこで方針として、横臥→伏臥→仰臥と指圧臥位を変えながら全身指圧を施しました。とくに下肢(太もも)の指圧を念入りにし、お腹の張りも弛むように指圧すると腰のだるさも取れて、下半身がラクになったと報告されました。また腕の使い過ぎで疲労した前腕を指圧で弛めました。すると、それに呼応して首や背中のコリも緩和したようです。仕事柄、親指を多用する事が多いのですが、間違った使い方をすると、歪みが固定し治らなくなります。全身指圧でバランスを取りながら仕事に取り組む事をアドバイスしました。
体形はスリムな方で、腰を触れてみると訴える程の固さはありませんでした。またその範囲も限定的でした。お腹を診ると固くなっており調子が良くない事を示していました。お話から推測すると、この腰痛は疲れから来たようでした。指圧するとストレスを示す「大腸経」という経絡に反応があり、これは不満を腹で堪えているストレスです。疲れも単なる働き過ぎではなく、精神状態も絡んでいるようです。そこで施術方針は「全身指圧」だけで疲れを取るという事にしました。二回目に来られた時には、お腹の状態がかなり改善し柔らかくなっていたので施術を継続しました。段々腰の感じも柔らかくなり、それに伴って疲れも少なくなったと訴えるようになって、5回の施術を終了する時には体が軽くなり「階段がラクに昇れる」と報告してくれました。
この方は上背も体格も十分で、ひと目で「実証」とわかります。肩コリに触れてみると、コリがこぶのように盛り上がっています。「強く押しても痛くない」そうで、マッサージ師泣かせの肩凝りです。お腹も含めて全体的に筋肉は硬く、年齢のわりには弾力はありませんでした。このような場合、下半身に「歪み」があると考えられます。そこで治療方針として運動不足の体をほぐすための『全身指圧』を歪みの強い『下半身』と症状のある『右肩』に重点を置いて行う方針にしました。運動不足の場合は全身に圧痛が出るので、どこを抑えても痛いはずです。
結果は1回目の指圧で頭痛が取れ、3~4回で肩コリは劇的に軽減し夜も良く眠れるようになったそうです。
一般に腰痛症の場合は骨に異常があるわけではなく、腰を支える筋肉や腱などに問題があると言われています。また腰痛は長年の体の無理や疲れの反映とも指摘されています。治療方針としては痛みに対しては「腹部」と「脚(太ももの内側)」を重点的に行い「疲労回復」のための全身指圧も併用しました。
結果はこの方は『脾経』に歪みがあったのですが、下肢の指圧と腹部の指圧で症状がその場で好転し楽に歩けるようになりました。その後全身指圧を数回行って痛みが再発する事もなくなりました。
痩せ型の体形で、一見して「虚証」だと判りました。一般に虚証の人は抵抗力がなく回復に時間が掛かります。心理的な警戒心が強いので指圧も徐々に時間をかけるのがポイントになります。そこで治療方針として心地よい指圧に徹し、短時間の施術から徐々に長くして行くこと。また100%の回復を求めず、70%の回復でよいと指導すること(完璧を求めない)。さらに「一病息災」で、病気(パニック障害)が多少あっても構わないと理解してもらう事にしました。また時間を掛けて少しずつ回復を目指す事を目標にしました。
その結果、回を重ねて腕から脚、背中へと指圧をし、3~4回くらいしてリラックスできるようになりました。すると少し体調が好転しました。これが自信へと繋がり、彼女も家の中の家事を前向きにこなすようになりました。意欲が出てきましたが外出はまだ出来ません。6回目は突然彼女から「友人とカラオケに行くから」とキャンセルの電話が掛かってきました。それ以来、往診の電話は掛かって来ません。
小柄な体形ながら、競技スポーツで鍛えた体は筋肉質です。しかし腰から背中を圧してみるとカチカチで、板のような異常なほどの硬さでした。聞いてみると、これまで強圧がよいと思って力押しの施術を受けて来たとのことです。その施術の結果弛むより、一層硬く固まってしまったようです。こうなると治療院もお手上げで「もう来ないで…」と言われたそうです。
初回で指圧をしても指が入らず、ツボの位置も判りませんでした。そこで全身の弛めを第一目標に置き「全身指圧」を数回施しました。12回ほど繰り返すうちに、徐々に患部が弛み出しツボの位置も判り、ツボに指が入るようになりました。この方の場合はツボは深いところにあり、腰の奥まで指を沈み込ませます。すると心地よい圧痛と共に症状が弛み出し、更に回数を重ねるうちに背部から首にかけてのコリや張りも弛んで来ました。全体で一年くらいの施術になりましたが、今は当初の痛みも消え体も軽くなり、コンディション維持のため指圧を続けています。
肩と腰の訴えなので、歪みは全身的かと推測したのですが、実際に拝見すると、訴えのある所にコリが点在していて、その他には見られませんでした。よってそれ程こじれた感じではありませんでした。そこで全身指圧を施してみると、思った通り体の弛みも早かったです。目の疲れもあり、肩こりは職業がら目の使い過ぎから来ていると推察できました。そこで目の疲れを取る経絡(ツボ)を選び、また肩こりに影響を及ぼしている腕の緊張を弛める指圧をしました。一時間の指圧をして、最後に肩のコリを刺激的な施術で仕上げて状態を診ると、施術前と比べて大きくコリが弛んでいました。本人もスッキリしたと感想を漏らし、後日来院の時には殆ど気にならなくなったと報告してくれました。
2年前にうつの治療は終了したと言うことでしが、お会いしてみて、まだうつの兆候は残っているなとの印象でした。お話ししていても緊張でピリピリした感じを醸し出していました。うつ病の指圧は疲労回復の指圧に準じます。これは心身耗弱であるうつ病の方には基準となる方法です。また体格的には「虚証」と呼ばれる体力のないタイプでしたので、丁寧な施術を心がけました。うつの方は警戒心と不安感が強く、施術中は眼を閉じることなくずっと話し続けます。3ヶ月過ぎた頃から、眼を閉じるようになり、6ヶ月頃からは施術中に眠るようになりました。一年経つと会話の内容が徐々に変わって来て、地域に関心を持つようになりました。そして1年半ほどで外出が出来るようになり、図書館へ行ったり催し物に行ったと報告をするようになりました。指圧は最初と同じで、全身指圧を中心としたソフトな施術を続けました。そして2年過ぎると地域の人とも接触を持つようになり、状態は大いに改善したようです。現在は月1回のペースで受療しています。
私どもの指圧について…
この度は、数ある治療院の中で、当院をご検討くださりありがとうございます。
当院へは都内・近県から多くの方がご来院され、その多くはつらい頑固な肩こり等で悩む方です。幸い大多数の方が数回の通院で症状改善を実感され、大変多くの方にご支持頂いております。
当院の指圧は、他のマッサージ、整体・整骨院とは違い、経絡指圧という医療的色彩の強い指圧にて施術を行っております。
より早くお辛い症状の改善を実感いただくためにも、参考にしていただければ嬉しく思います。